【登録理由】

東京の南方海上、約1000キロメートルの太平洋上にある30余りの島々、小笠原諸島。東洋のガラパゴスとも呼ばれる小笠原諸島は、これまで大陸とつながったことのない海洋島のため、島にたどり着いた生物は、独自の進化を遂げ、特異な生態系をもつようになりました。特に、陸産貝類と維管束植物においては並はずれた高いレベルの固有率を示しています。カタツムリなどの陸産貝類は、生息する106種類のうち、100種は固有種です。また、小笠原諸島の地形から海洋性島弧の誕生から現在までの進化の過程を見ることができ、それらも評価の対象となり、2011年に世界自然遺産に登録されました。

【所在地住所】

東京都小笠原村

【アクセス方法】

船:東京・竹芝桟橋からおがさわら丸で25時間30分で父島
母島へは父島からははじま丸で2時間10分

【遺産概要・見どころ】

小笠原諸島の世界自然遺産登録地域は、父島および母島の一部を除く小笠原群島の陸域、火山列島(北硫黄島と南硫黄島)の陸域、孤立島(西之島)の陸域、父島周辺海域の一部の面積7939ヘクタールに及ぶ地域です。小笠原諸島の見どころは何と言っても海の美しさです。港の海水の透明度には驚きの一言。亜熱帯気候なので、浅瀬を覗き込むと目の前を色鮮やかな熱帯魚が泳いでいたりします。季節によってはホエールウォッチングも可能です。しかし、小笠原諸島の生物は、独自の進化を遂げ、特異な生態系を持っています。小笠原にしかいない固有の生き物たちは、外来種によって食べられたり棲みかを追われたりして数を減らしています。小笠原諸島を訪れることで、固有種の絶滅に拍車をかけるようなことがあってはなりません。訪れる際には細心の注意を払い、外来種を島に持ち込まないように最大限の努力をしなければならないのです。

【近くのグルメスポット】

30余りの島々が点在する小笠原諸島で一般住民が居住しているのは父島と母島のみ。当然グルメスポットを探すとすれば父島か母島となります。母島は父島から約50キロ。その母島にある「アウストロ」は南国リゾートのロッジを思わせるレストランです。ランチは定食やパスタなどで、ごく一般的な料理ですが、島の特産品であるレモンやパッションフルーツなどを使った飲み物などもあり、観光客にとっては楽しめるお店です。小笠原諸島で最も大きい島父島は、人口約2000人。父島で食事を楽しむなら、海を眺めながらの食事もできる「ボニーナ」。ポキ丼、嶋唐辛子入りのチキンカレーなどがあります。小笠原では古くからウミガメを食べてきたということで、ウミガメ料理も食べることができます。島にとっては貴重なタンパク源だったのだそうです。ちょっとカメには気の毒ですが、ためしてみてはいかがですか?

【感想・その他】

東洋のガラパゴス、小笠原諸島。美しい海と貴重な生物たち。東京からは船で行くしかないのです。しかも週一回の運航予定というのですから、気軽に出かけていける場所ではありません。小笠原諸島の生物は得意な生態系を持っており、外来種によって絶滅の危機に面しています。小笠原に訪れる時は、外来種を持ち込まないよう、細心の注意が必要です。靴についた泥を取り除いたり、服についた小さな種も見逃さずに取り除かなければならないのです。小笠原諸島に訪れることができた時には、固有種を守る気持ちを持って、外来種は一個たりとも持ち込まないようにしたいと思います。